11月は進路面接の季節(公立高、カウンセラー配置よりまず面談室の設置を)

 最近では、学校関係で何か事件が起こるたびにスクールカウンセラーの配置が話題になり、少しづつ配置が進んできて、週に1回程度カウンセラーが来校するようになった学校も少なくない。勿論学校内でしがらみのないカウンセラーの存在は生徒にとっても(教員にとっても力のあるカウンセラーなら相談できる)、プラスであることは間違いない。 しかし現在では少なくない教員が初歩のカウンセリング技術を身に着けているし(私もその一人だ)、多くの普通の生徒にとって養護教諭に比べて、なじみの薄いカウンセラーに相談するのはなかなかハードルが高いし、普通に生徒相談を充実させるためにはその前にすべきことがある。それは面談に使えるような小部屋の増設である。





 公立高校で標準的なクラス経営を考えた場合、個人面談も重要な役割を果たしていることはいうまでもない。それも年に数回行うのが普通だ。1学期中間考査後に担任との顔合わせ的な面を含めて、学習態勢の確認とか生徒の家庭・学校内での居場所や立ち位置を理解する面談。それから2学期の中間考査後に行う進級の目途や主に進路関係の面談。



 もう少し具体的に2学期の面談について触れると、一般的な公立高校の1年生場合、2年次に緩やかな理系文系の選択科目を導入するのが普通なので、その選択が無理なくできるように将来の職業のイメージを確認したり形成する手助けをするのが、目的だ。
 また2年生の場合、3年次に本格導入される選択科目をきちんと選べるのかを、相談・確認する面談となる。ここではある程度職業に対するイメージが固まっていないと科目を選択できないことになる。また最近増えている推薦入学の希望の有無もこの時期に双方ともに確認しておく必要がある。
 3年生の場合、具体的な受験校をある程度決める面接となることが多い。勿論推薦入学志望の場合には、最初の面談時(5月)にある程度の話がされるわけだし、一般受験の場合は現役生の場合、まだまだ伸びる余地もあるので、最終的な決定は1月までずれ込むことも珍しくない。
 


 だからこの面談2回というのは、ある意味少なくてもということであり、必要に応じて(成績不振者に対してとか、保護者に対しての面談だったり)、時期も夏休み前とか、3月に新学年に向けてとか、随時行われている。



 つまり少ない場合で年2回程度、1人10分~15分としても、40人のクラスだと、出入りの時間とか抜きにして正味10時間は最低かかるわけだ。実際には生徒を長時間待たせるわけにもいかないし、また教員の側にも会議やその日の仕事の後始末や予習・部活指導を考えると、結局2週間程度かけて実施することになる。



 それで3学年8学級の規模の高校で個人面談を実施する時期は約2週間に渡って、3×8で24か所の面談にふさわしい場所が必要になる。ところが現在の公立高校では、そういう教育相談にふさわしい部屋は1,2か所しかないのが普通である。では実際にどうしているかというと、芸術科や理科・家庭科・情報・英語の教員はまだ教科の少人数の職員室があるから、まだましというかそこでやることもあまり無理がないので、そこを使って行うことになる。



 ではそれ以外の教員はどうするのかというと、本当に適切な場所に困って、教員によっては大職員室の真ん中で面談をせざるを得なくなる場合もある。しかしそれだと個人情報の問題もあるし、それ以上に周囲の教員の眼を意識して生徒からは建前的な発言しか引き出せないことになる。私自身は大変苦労しながらも必ず落ち着いて話せる場所を捜しまわって面談してきた結果、「実はお父さんが末期癌なんです。だから4年制大学はあきらめようと思っています。」とか「お父さんがリストラされて。だから専門学校を考えています。」「人間関係がうまくいっていないので修学旅行には行きたくない」とかサッカーに対する夢を時間を越えて語り続けた生徒もいれば、etc(※1)・etc(※2)。恐らく大職員室で面談を行った場合には、多分口を開かなかったであろう生徒が、率直に心中の悩みを吐露してくれたことは少なくない。



 だから何か事件というと、すぐにカウンセラーという発想にいってしまうのではなく、日本の教育の担任制度はカウンセラーの本場のアメリカなどと比べても、はるかに上手く運営されているので、何か事件の際にその潜在力を使わない手はないだろう。しかしそのためには落ち着いて話せる教育相談室の充実は欠かせない。


 余談だが教科書会社のボランティア的な仕事をしていて、何度かT書籍を訪れたことがある。そこでは本当に打ち合わせに適当な小部屋が本当に沢山(10部屋以上?)あって羨ましい限りだった。かけがえのない成長期の生徒と関わる学校にこそこういう部屋が必要ではないかと、行くたびに感じたことだった。


※1  そういえば結局、卒業時、3年間皆勤(しかも弁当は大体自分の手作り)、成績オール5、女子バスケ部     の部長、1浪して、難関医大に進学という完璧すぎるくらいの生徒が、面談中に顧問との関係が悪くて、試    合に出してもらえないと突然泣き出したこともあった。


※2  また、優秀だけど大人しいとしか印象のなかった女子生徒が、外科医になりたいと進路調査に書いてき    たので、面談で何故外科医なのかを尋ねたところ、ブラックジャックの影響と答えたので、外科医だと血まみ   れのけが人とかを診察する機会がありそうだけど大丈夫か聞いたところ、艶然と(女子高生が艶然とという   のは変だが) 微笑んで、(この時の笑いは艶然ととしか表現のしようのないものだった。)「女は男性より血   に慣れているから血に強いんですよ、先生」といった。

   また修学旅行の少し前の班行動を決める場面で、この生徒から「先生は「新撰組はどう思いますか?と質    問された。何故かこの時、危険感じるセンサーが作動しなかったので率直に、「あんなテロリスト集団は嫌い   だ」と答えたら、暫く口をきいてくれなかったことがあった。
    この生徒も志望通り、地方の国立の医大に入り、現在脳外科医として活躍中で、時々年賀状をくれる。

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この記事へのコメント

渡り鳥
2014年11月13日 08:17
確かにそうですね。面談シーズンの場所取りは仁義なき戦いになります。3週間くらい全部予約して貸切にしちゃうとか。負け組は廊下で面接なんて悲惨なことに。スペース確保と同時に学級定員減が必要です。

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