平和国家としてのブランド確立をー「安保法案」の賛否の分岐点を考えるー

「安保法案」はまともに成立したものとは、到底思えないが(議事録もないなどあり得ない!)、社会がある程度成立したとの前提で動き出した以上、それに合わせてコメントしてみようと思った。


安保法案が成立した後の9月20日(日)の日経新聞朝刊の記事に、審議時間はそれなりに確保したが、審議はあまり深まらなかったとあった。同時に、同じ朝刊の社会欄の記事に、ある墓参りに訪れた女性(70)「賛否が分かれる話だが、お互いの意見を聞く姿勢が大事。『戦争は絶対だめ』という思いは一緒だから」と話した」。と紹介していた。この二つは対応した内容で審議が深まらなかったから、女性は「思い」で括るしかなかったのだろう。


しかし、この意見の女性の善意は疑いようもないが、やはり賛成と反対を善意は一緒だからとしてそこで賛否についての考察をストップしたままにしてしまうのは、やはり不味いだろうし、また審議が深まらなかったのは何故か、私の見えている範囲で賛否の由来と理非を考えたいと思う。


戦争は絶対反対というこの女性のような善意を前提として考えた場合、賛否が分かれる点は次の3つに集約できるのではないか。

1、アメリカという国に対する認識と信頼度
2、中国に対する認識、またはその2国(アメリカと中国)の関係に関する認識
3、今の政府に対する信頼感

まず1、アメリカに対する認識と信頼度

  であるが、今の世界を見渡した時、アメリカほど人気のある国はあまりない反面、敵も多い国はあまり無いのではないだろうか。とにかく近年アメリカほど戦争をし続けた国はほかにないだろう。第二次大戦の際のアウシュビッツの存在に象徴的に示された、絶対悪のナチスドイツに対して戦った結果、獲得した絶対的な正義としての國としてのイメージが強い(しかし第二次世界大戦以外の現実の大部分の戦争はどちらが正しいと決めることが困難なことが普通だ。)。ベトナム戦争以降は単に好戦的な国に過ぎなくなってしまったようだ。(それにはアメリカ国内の善良な市民と貪欲な新自由主義者との分断も大きいのだろうが。)

 つまりアメリカを自分(日本)を守ってくれる親分と理解するのか、関係国を紛争に巻き込む単なる好戦的な困った国と考えるのかが大きな分岐点のように思う。そして残念ながら私にはベトナム戦争以降のアメリカはイラク侵攻に見られるように強欲な単なる好戦的な困った国としか見えなくなり、イスラム諸国がアメリカを敵視しているのもやむを得ない面があると思わざるを得ないのである。テロとの戦いと称して無人機での爆撃を継続しているが(無人機での爆撃というのは誤爆も含めて普通の爆撃以上に倫理的な退廃を感じる。)、テロの温床は貧困や報復の連鎖による憎悪の増幅、希望の喪失である。テロとの戦いは地味でも教育を中心とした援助にしかありえないのではないだろうか。そのアメリカのポチをやろうというのが今度の安保法案だ。だから今まで割合に良好な関係を築けてきたイスラム諸国との信頼関係を捨て去ろうというのが、今回の安保法案の最大の問題点の一つだ。


2、中国に対する認識  

 現在の中国はEUとの結びつきを急速に深めているが、日本やアメリカをはじめとする海外からの投資によって経済が成り立っている(なにしろ13億人だ。EUの人口は約5億人だからEUの倍以上だ。これだけの人間に食べさせまとめるというのは想像を絶する困難さがあるだろう)部分は大きい。だから日本とことを構えるということは、世界中の投資資金を失うということでそれこそ中国経済は崩壊してしまう。だから日本が今すべきことは、平和国家としての日本の存在感を世界で増していくことではないだろうか。そのためには、例えばアメリカがイラク侵攻をした際にいち早く支持をするのではなく、やはり否定し、平和を希求する国家という「ブランド」を確立していくべきではないのか。そのためには武器輸出などもってのほかである。そういう平和国家に事を構えようとするほど、中国の指導者たちは愚かと思えない。



アメリカと中国との関係  

  現在習近平国家主席がオバマ大統領と会談中だ。日本の新聞は各紙が米中の2国間がしっくりと行っていないということを強調した書きぶりになっているが、そもそもオバマ大統領は安倍首相とは会おうともしなかったのである。アメリカ国債の最大の保有国が中国であることも含め、アメリカと中国はお互いが(好き嫌いは別にして)運命共同体であることを、良く認識している。だからあり得そうもないが中国が日本と軍事的な衝突があった際、アメリカが日本の側に立つという保証は何もないどころか、新自由主義者たちが日本の10倍ある巨大市場の中国をとったとしてもそれ程驚けないのである。中国の人達が留学先に選ぶのは圧倒的にアメリカであることも含め、日本の報道からは見えにくい部分ではあるが、アメリカと中国の心理的距離は極めて近い。(そういえばリーマンショックの立ち直りのきっかけをつくったのも中国だった。)少なくともアメリカは静観するはずである。




3、今の政府に対する信頼感

そもそもこの安保法案を強行採決採決したのは記録的な豪雨によって、鬼怒川の堤防決壊などの被害が出ているときである。国民の為を考えた法案なら自ずから安保法案などより洪水対策(すべきことは無数にあるはずだ。)が優先されたはずである。それが曲りなりに築いてきた民主主義的な手続きを全てぶち壊してまでの強行採決で、この政権の冷酷さ、独善性明らかであろう。深く考えるまでもなくこの政権が国民の側を見ていないのは明らかであり、アメリカにしか目を向けていないのは明らかである。(そこまで尻尾を振ってもオバマにまともに相手にもしてもらえないところが悲しい。)憲法に治する姿勢とか、報道に対する恫喝とか、こんな傲慢、冷酷、無教養、無知性の政権は信頼しようがない。


 このように整理してみると、憲法に違反するとかそういう事実関係の整理は国会でやれたはずであるが、それ以上の価値判断を含む部分は、各個人のアメリカ・中国・政府に対する信頼感を根底に議論するしかない以上、非常に議論を深めにくい内容であることも確かなようだ。それも政府の不誠実さだけではなく、議論が深まらなかった原因の一つではありそうだ。

 そしてどこをどう考えても安保法案に賛成するという論拠は見いだせなかった。
やはり今の日本が安全保障のためにすべきことは、武器の輸出の解禁を至急止めて、自衛隊を派遣するのではなく、日本独自の(生活が成り立つような)教育や産業を興すような支援を各国に合わせて行っていくようなことを積極的に行っていくことではないのか。それなら積極的平和主義の名前にふさわしい。


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この記事へのコメント

2015年09月30日 21:35
  こんばんわ。

 コメントありがとうございます。
複勝;¥1,000-以上の配当はごくたま~に
ヒットするときがあります。嬉しいです。
2015年10月01日 09:06
複勝の1000円というのは普段の地味なレースをかなりしっかり見れてないと、とれない馬券です。馬連の万馬券に匹敵しますね。

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